「毎度ありがとうございました―♪」 カント寺院から元気な声が聞こえる。 「毎度って…。ホントは、あんまり来たくないんだけど…」苦笑するピア。 「それにしても…」ムタが寺院を見上げる。 ここは愚か者達の眠る場所、カント寺院。 本来は厳かで荘厳であるべきはずの建物は、しかしどこか変な雰囲気をかもし出している。 なにしろ、どー見ても神社。 さらに巫女さんがお出迎え。 しかもむやみに明るい。 「ここ最近だよな。こんなふーになったのは」 「ああ、なんでも新しい大僧正の意向らしいけど。…多分、ただの趣味だな」 まだ若いと噂される大僧正は、着任早々寺院の大改修に取り掛かった。 その成果の一つが二人の前でニコニコと笑っていたりするわけである。 もちろん、寺院内部では猛烈な反対があったようだが、どうやら「巫女さんが近くに!」という誘惑には僧侶達も勝てなかったらしい。 それに実際、巫女さん目当てで客(?)も増えたので、現在はこれが定着してしまっているのだ。 「まあ、昔っから突然『蘇生料50%OFF』とか、みょうちくりんなことしてたトコだし。こんなのもありかな」 と、納得顔のムタ。 「でも君、どこかで見たような…?」と、巫女さんに話し掛けるピア。 「はいっ!わたし、前は酒場でウエイトレスやってました!で、お店の常連さんだった大僧正様にスカウトされたんです!『巫女服着てみない?』って」 「どーゆー大僧正やねん」 とりあえずツッコミを入れる二人。 「こーゆー大僧正です!」ずどおん! 突然あたりに震脚の轟音が響く! 現れたのは身の丈2mはあろうかという巨人! その男がなにやら怪しい動きで近づいてくる…どうも拳法の動きのようだ。 たまに大地を蹴りつける音が『ずどおん!』と響き渡る。 「はっはっは、失礼…私は寺院を取り仕切っているキラと申します。うちの店員がなにか失礼でも?」 「店員かよ!」正拳でツッコミをいれるピア! しかし次の瞬間、逆にピアの方が吹っ飛ばされていた。 キラがピアの拳を掌で受け流し、そのままの動きで肘を打ちこんだのである。 「いやあ、すいません。体が勝手に動いてしまいまして」申し訳なさそうに謝るキラ。 が、ピアはがばあ!と起き上がるとキラの胸元をつかんでがっくんがっくんゆすりながら、 「ききき、きさま!迷宮で遭ったことあるぞ!その動き、モンクだろう!」と叫び出す! 「なななな、なにをおっしゃいますやららら(汗)」 がっくんがっくん。 「いーや、絶対そうだ!てめえ、客増やすためにダンジョンでモンスターやってるな!?」 「べべべべつににに」 「そーか、巫女さん目当てだとしても死人が増えるのもおかしーよなあ」 「店長、副業もやってらしたんですか?」 「わわわわわたたたた」 「その辺にしといたら?」 「芸達者なんですねえ(にこにこ)」 「うき―――!許るさ―――ん!(ギース口調)」 「ってゆーか、店長じゃないでしょ」 「ぶくぶくぶく」 「ふんが―――!」 「あっ、間違っちゃいました」 なんか、めちゃくちゃだ。まるで重いchatのようである。 結局、暴れるピアにムタがMANIFOをかけ、その場は収まった。 店長…いや、大僧正はすでに気絶しており、自分の店…いや、寺院で治療された。 そして後日、ギルガメッシュの店にて…… 「あの坊主、今度会ったら絶対にゲロさせてやるぅ!」 「ところで俺達、なんでカント寺院に行ったんだっけ?」 「……あ」 実は二人は、前回灰になったバカを連れて帰ろうとしていたのだ。 ところが、行ってみたらバカは見事にLOSTしていたのだった。 「いけねえ。忘れてた。アミュレット・オブ・スキル取りに行かにゃ」 「その技って、迷宮内でLOSTした時だけじゃなかった?」 「こんな時だけ常識を持ち出すなよ。それを言ったらアミュレット自体#2のアイテムだぞ」 「それもそうだねー」 「はっはっは」 なごやかに時が過ぎて行く午後のひとときであった。 …ちなみにバカが生き返ったのは、一ヶ月後だったという……。 |
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