ピアとムタが天井を見上げると、その視線の先には巨大なスライム状のものが張りついていた。

「スライムか…?」

「しかし、妙に大きい…それに、宝箱に入っているとは…」

呆然とする二人。

「あれは、ワーアメーバですよ…」

突然、背後から声が掛かる。慌てて振り向いた二人の前に、道化の格好をした男が立っていた。

フラック…」ピアが回転しながらつぶやく。

「おや、覚えていていただけましたか…光栄ですな」

忘れるはずも無い。この迷宮でフラックほど特異なモンスターはいないのだから。

「それより、ワーアメーバだと?ここはワードナの迷宮だぞ」

「いえね、あれは私が個人的な趣味で取り寄せた物でして…」

「趣味だと?どうせろくなもんじゃないだろう」ムタが鼻で笑う。

「失敬な。ムタ様なら私の高尚な趣味をわかってもらえると思っていましたのに…」

「どんな趣味だ?言ってみろ」

「あれは、こう使うのですよ…」

と、言うとフラックはいきなり天井のワーアメーバに向かって跳躍した!

「なにいっ!」「バカなっ!」

フラックはワーアメーバに飛び込むと、その場でいきなり高速回転!
「むひゃひょえ――――――!」

ワーアメーバに包まれたままのフラックは絶叫しながら回転、部屋中を跳ね回る!

ピアとムタは飛び回るフラックと、飛び散るワーアメーバから身をかわすので精一杯だ。

しかし、二人は視界の隅で捉えていた。

フラックを包み込んでいるアメーバが、すさまじいスピードで形を変化させているのを。

「……あれは!」

数分後、フラックは息を切らしながら恍惚とした表情をしている。

歩み寄るピアとムタ。

「ずいぶん、いい趣味をしているようだな」

「おや、気付かれましたか?さすがは高レベルの方々ですな…そう、あれはいわば特注品でしてな。こちらの思うままの姿になってくれるわけですよ。」

「なるほど、さっきチラッと見ただけでも看護婦さん、保母さん、めがね、みつあみ、ホットパンツ、巫女さん、スッチ―、婦警さん、セーラー服、ブレザー、ブルマー、ポニーテール…」

ピアが息を荒くしながらリストアップしてゆく。

「その辺にしとけ、キリが無い」そう言うムタも目が血走っている

「どうです、すばらしいでしょう?実はこれを、ぜひあなた方にプレゼントしたいと思いましてね…」

「なっ……!」

「ただし、あれは一つしか…?」

しかしもはや二人はフラックの言うことなど聞いていないようだ。

いかにも『悩んでいる』感じのポーズをとって部屋を転がりまわっている

そして30分後。

「……ふざけるな!アメーバなどに欲情できるか!」

「…そのとおり!人間にはプライドと言う物があるのだ!」

しかし、二人ともすごい形相だ。

まるでなにかを必死で我慢しているかのように見える。

「…お仲間はそう思ってはいないようですが?」

「?」二人が振り返って見ると。

ワーアメーバと思われる巨乳のおねーさんに膝枕をされているバカの姿があった。

ちゅど―――――ん!

直後、ピアが唱えたTILTOWAITにより、バカは黒こげとなり、ワーアメーバは蒸発した。

「そんなわけで覚悟!」血の涙を流しながらピアとムタが叫ぶ!

「ちいっ!この俺様の仲間割れ大作戦があっ!!」

フラックが叫びながら襲いかかる!

「もうちょっとかっこいい作戦名を付けろ――――!」

フラックは1ターンで細切れとなった。もちろん、二人合わせて20回もの攻撃を受けたのである。

「手強い奴だったな…」

「ああ、人の心は弱い。そしてそこを奴らは狙ってくるのだ」

「まったくだ、俺もお前も、もう少しで奴の術中にはまる所だった…」

スケベ心を刺激されて見事に引っかかりそうになったとは、さすがに言いづらいようだ。

その夜、いつも以上に疲れた雰囲気のピアとムタは、バカの灰をカント寺院に預けるとギルガメッシュの店に入っていった……

泣くな、フォアグラーZ!

がんばれ、フォアグラーZ!

今回はちょっと下品だったぞ!

息切れか? (ほっとけ!)


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