「ぶもももも―――!」

すさまじい勢いでミノタウロスが暴れている。もはや部屋はその原型をとどめていない!

「誰が生きたまま連れて来いと言ったあ!」

「え?だってピア、殺しておけとも言ってなかったじゃん」

「いや、その辺は自分で判断してさあ」

「イキのよさではこれが一番だと判断したんだけど」

「なるほど…」

「ぶもももももーーー〜〜〜!」

部屋を破壊しまくるミノタウロス!

隅で茶をすすりながら会議を開いているフォアグラーズ!

そして、いまだに壁の下敷きになっている『病弱な少年』!

「あ。忘れてた」

ぽんと手を打ち、立ちあがるフォアグラーズ。

その手にはそれぞれ刀と剣のような物が握られている。

「狼藉もここまでだ!そこの牛!」ビシイッ!

「人助けの為に、死んでもらう!」ジャキイィン!

ポーズまで付けてキメた二人!

しかし、実際には同時に叫んでいるので何を言っているのかまったくわからない!

…おまけにミノタウロスが投げつけてくる家具で、かなりの怪我を負っている。

「…後で打ち合わせをしよう。叫ぶ順番とか」

「…賛成」

「と、言うわけで覚悟しろ!」

二人の持つ武器がひらめく!フォアグラーズは一応高レベルなのだ!

勝負は一瞬でついた…が。

相手は一撃ですでに絶命しているのに、二人はまだ斬りまくっている。

そう!高レベルの冒険者は相手がどんなに弱くても、とりあえず10回攻撃するのだ。

「さあ、彼を助けなければ」

ガラガラと壁をどかし、手を差し伸べる。

「うう……」

手を差し伸べる二人。その表情は穏やかで、慈愛に満ちている。

もちろん、返り血で真っ赤な笑顔なのだが。

一時間後、『病弱な彼』(バカと名乗った)は焼き立てのミノタウロス・ステーキをがっついていた。

ムタのMADIによって、どうにかメシが食えるまでは回復したのである。

「しかし!健康になるためには、自らの体を変えていかなければだめだ!」

「そう、体質改善の為に、どんどん食え!」

…ちなみに、ミノタウロスが牛なのは頭だけである。

そのステーキと言うことは、人肉を食っているのに等しい。

まあ、当事者全員が気付いていないようなので、よしとしよう。

バカは食いつづけた。フォアグラーズが持ってくる、ありとあらゆるモンスターの肉を。

なにしろバイタリティーのあるモンスターどもである。

バカの体は見る見る強くなっていった。(おお、なんと言う説得力!)

「まったく」
「かんたん」
「だ!」

と、いうわけで、1ヶ月をすぎるころ、バカは健康をとっくに通り越して脂肪肝になっていた。

「うム、ちょっとやりすぎたが、とりあえずよし!」

こうして、不健康戦隊フォアグラーZは、当初の予定通り仲間を増やした。

戦え、フォアグラーZ!肝硬変に負けるな、フォアグラーZ!

今必殺の大太鼓腹撃ち!(それだけはプライドが許さねー!)


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