プソ小説
index
menu
   

(とりあえず、「パンアームズはその名前に反して、パンの味はしない。むしろ、ナスの粕漬けに近い。」という豆知識を得ているパーティというのはなかなかいないよなー。)

などと考えつつPiaは走る。 もっとも、自分で味わってみたわけではないし、そのつもりも更々無いのだが。

「すっごいすっごいやーらかいの!でも噛み切れなくって、そう例えるならゴムって感じ!とっても苦労するよあれは!私は味わっただけでさすがに飲み込まなかったけど、実際に食べようって時には注意してね!!大きめに噛み千切っちゃうとゼッタイ後悔するんだから!保証したげる!!」

「食うかーっ!!」 Pia、Sain、Apricotの声が見事にハモる。

「俺たちがここで学習するのは、生き延びる方法!敵を倒す方法!決して、『敵の攻撃をかいくぐって噛み付く方法』じゃないっ!!」

ぜいぜいと息を切らし、目を血走らせつつPiaが追い討ちをかける。もうたくさんだ。引きつった顔がそう訴えていた。いや、それ以前にMaoに向けられたデーモンレーザーが訴えていた。

…しかし、Maoはもう目線の先にはいなかった。チョコチョコと小刻みな走り方で新たに現われたモンスターに向かって走っていく。

「……」思わずタメ息をつくPia。そして次の瞬間、死んでいるPia。

「…女性に銃を向けちゃ、ダメ…お仕置き…」

Apricotoの製作者は、フェミニストでもあったようだ。彼の道徳観では、男性にスプレッドニードルを乱射するのは構わないらしい。

「…ところで、Sainは?」 死体の上で魂となったままのPiaがApricotに尋ねる。全身武器庫の彼女は、ムーンアトマイザーなど持っていないのだ。SainかMaoにリバーサーをかけてもらわないとならない。

無言でApricotがMaoの方向を指差す。 Sainはどうやら、必死でMaoを追いかけているらしい。なかなか追いつけないでいるので、さっきのPiaは気付かなかったのだが。

かすかにSainの声が聞こえてくる。「ポイゾナスリリーってさー、マグマの近くに生えてるとレアっぽく見えて紛らわしいよねー。そう思うよね?それでさー思わず最優先で倒したらモノメイトしか…」

「…なにを言ってるんだ?Sainは。」

「…今までもずっとあんなだったの。Maoの声に隠れて、Piaが気付かなかっただけなの。あれはどうやら、彼なりのナンパらしいの。」

「ふーん……撃っちゃって。」

「ラジャー、なの。タシロ殺す!」

…魂となってふよふよ漂っている男二人が生き返ったのは、数十分後であった。

そこら中のモンスターに一通り噛み付いたMaoが結果を報告しようと戻ってきて、やっと気付いてくれたのだ。

「……でねっ!でねっ!!やっと甘いもの見つけたの!やったやったーっ!!依頼クリアー!!わー、やっぱり甘いものは地下にあったんだね!つまり、パイオニア1の人たちが甘いもの目当てで潜ってったってゆーわたしの学説は、完全に正しい事が証明されたってワケ!!すごい?すごいかも!きゃー!!じゃあこれで私はパイオニア2に戻るけど、PiaとApricotの協力は忘れないよ!じゃあねー!」

と、『甘いもの』を担いで帰ろうとするMao。そして次の瞬間、転んでいるMao。 Piaが後ろから力いっぱい引っ張ったのだ。

「味は甘かったのかもしれないが、ポイゾナスリリーはやめろ。依頼人、死ぬから。」

「……やっぱりダメ?」

「ダメ。」

「……『良薬口に苦し』って言うし、甘いもの食べるんならちょっとばかりのリスクを…」

「「「ダメ!!!」」」 …どうもMaoの参入以降、3人のハモリは上達していっているようである。

 
 
index
next
menu