プソ小説
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「なんてことだ!一刻も早く救出に向かわなければ!」と、ハデなアーマーを着込んだヒューマー。

「…そうね。」と、真っ黒に統一されたコスチュームのレイマー。

「賛成、なの。」と、ロリメイド。

やばい。Piaは早くも後悔していた。

ちなみに、パーティを組んでから後悔するまでの最短記録を更新しているほどだ。

(後悔しなかった事なんてほとんど無いけどな…)

ニヒルな笑みを口の端に浮かべる。

もっとも、体はズルズルと「待っていてください!パン屋のおねーさんたち!」「はやくするの。」などと叫んでいる二人に引き摺られて行っているのだが。

ずるずるずる…

今回のパーティーは自分を含めて3人。

一人目のパートナー、Apricotとは今まで何度か組んだ事はあった。

初めて会ったときは、その『どこからどー見てもロリメイド』な外見に少しばかり引き、直後に参加した戦闘では鬼人のごとき戦闘力に恐れおののいたものだ。

「あんたぁ鬼や…」と、腰を抜かしながら思わずつぶやいたほどに。

そしてもう一人、今回はじめて組んだのがSainというヒューマーである。

一言で言うとクソ真面目。Piaの最も苦手とするタイプだった。

ついさっき、ギルドで「行方不明になった3姉妹の救出」という依頼を聞いた瞬間に眼が萌えた…いや、燃えたのを確かに見た、とPiaは後に強く主張している。

しかもいきなり大声で正論を叫び始めたのだ…この瞬間、Piaの後悔達成タイムが新記録を更新したのである。

…ずるずると引っ張ってこられた場所はチェックルームであった。

ハンター達が利用しているロッカールームのようなもので、大抵のハンターはラグオルに降りる前にここで装備の充実を図る。今回ももちろん、例外ではない。

実はPiaはここがあまり好きではなかった。

チェックルームの受付嬢の口調がムカつく、というのが当初の理由だったが、今ではそれに加えてApricotが怖い、というのもあった。

ここには、どういうわけか必ず妙な白衣の男がうろついているのだが、Apricotがこの男に異常な敵意を燃やすのだ。

「たしろ殺す!」「うろついてるんじゃねーよ、たしろ!」などと意味不明なことを叫びながら。

”たしろ”というのはどうやら人名らしいのだが、後でApricotに訊いても「そんな人間は知らない」と言う答えが帰ってくるだけだった。

恐らくは、彼女の人格を作り上げた人間の私怨か何かなのだろうが…。

そういうわけで、今日もPiaはゾンデで吹っ飛ばしたApricotと、救出が間に合わずに黒コゲになった(Apricot曰く)”たしろ”氏をかついで、メディカルセンターへと向かう羽目となった。

「そう言えばSainは?」

このApricotの奇行は、周りに誰がいようともお構いなしで発動するので、組んだばかりのメンバーに逃げられる事もしばしばであった。

Piaがおもむろにチェックルームの方向を振り向くと…チェックルームの受付嬢をナンパしているSainの姿があった。

…Piaはとりあえず”たしろ”氏をメディカルセンターへと連れて行った。

壁にめり込むSainと、彼に向かって投げつけられたApricotの姿を背にして。

 
 
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